第2章 初めて迎える朝
その後は、本日の予定とかを話しながら食事を進め。
木葉さんも、今日は昼のランチから仕事らしく、朝食を済ませた頃には帰らなければならない時間になっていた。
もう、いつ連絡を取っても良い関係で。
会いたければ会いたい、と言って良い筈なのに、離れるのが名残惜しい。
私もバイトに行く準備があったけど、ギリギリまで顔を見ていたくて玄関まで見送りをする事にした。
「熊野、バイトは何時まで?」
「夕方の6時です。」
「…そ。俺も今日は遅くなんねーから、晩飯一緒にどう?」
玄関で、靴を履いている木葉さんを眺めながら会話する。
会いたいと思ってくれているのは嬉しいけど、バイトの後は手伝いをしているお店に出なきゃならない。
店に来てくれたら会えるのに、と思いはしても、そんなワガママ言える訳がない。
お客さんとして来たら、お金を使わせる訳だから。
「無理です。」
口から出たのは、説明の足りない言葉だった。
ちゃんと、前置きしてから言えば良いのに、こんな事をやるから木葉さんを傷付ける。
「私、最近、木兎さんの知り合いのお店を手伝ってまして。夜は、そこにいますので。」
今更言っても言い訳にしかならないけど。
あの、傷付いた顔で振り返られたら嫌だから、理由はちゃんと伝えた。