第10章 墓参りはプチ旅行
私が返事をすると、秋紀のスイッチが入ってしまったようで。
腹に回って抱き締める形になっていた手が緩み、少しずつ下がっていく。
スカートの上から、太股の内側を指先で撫でられた。
「…皆が、帰ってきたらどうするの。」
ここでは駄目だと手を掴んで止めた時、タイミング良く足音が聞こえてきて。
「…ここでアンタと会うとはね。」
「あのお寺が近いんだから、こういう偶然もあるものでしょ。」
「予想はしてたが、センパイとお前って相性悪いのな。」
「分かってたなら、何で呼んだんですか?女同士の言い合いなんて見苦しいもの、一晩中見るの嫌なんですケド。」
部屋に、話し声と共に皆が入ってくる。
その中に、私にとって予想もしなかった人物を見付けて、何度も見直すように瞬きしたけど。
何故居るのかを聞いたりする前に、私達の状態、膝の上に座ってイチャイチャしている図、を見た皆は揃って再び部屋から出た。
何も見ていないとしている、わざとらしい行動だ。
「…りら、下りてくれるか?」
後ろから声が聞こえて、従うように足の上から下りて振り返る。
こういう現場を見られると、恥じらう乙女系な秋紀は気まずそうに目を泳がせていた。