第10章 墓参りはプチ旅行
私の諦めが早いのはいつもの事。
暗い話をする事を止めたのは周りもすぐに分かったようだ。
私の性格上、どうしたのか聞いて貰えるきっかけが作れないと、話を始める事すら出来ないから、諦めて飲み始めるのも計算済みだったんだろう。
当たり前のようにボトルで焼酎を頼んでいた。
そうなると、一時間後にはよく見ている混沌とした状態。
木兎さんがいないから、五月蝿いのはきとりちゃんだけであるのが救いだ。
昨日と同じく、秋紀に絡んでいる。
「木葉クン、りらにキスマーク付けすぎよ。一瞬、病気かなんかかと思ったわ。」
「…それは、スンマセン。」
「ま、こんなエロい身体してんだから、自分のだって主張したい気持ちも分かるけどね。」
秋紀は、私の親戚、しかも年上相手に怒ったり、無視をしたりは出来ないらしく、嫌そうに相手をしていた。
止めたいけど、こういう時に突っ込む私の台詞はズレてしまうようで。
更に秋紀を追い込んでしまうかも知れない。
「…秋紀、お酒飲んでる。」
「まぁ、こういう時はな。飲めねぇ訳じゃねぇし。」
「眠い?」
「…ん、やっぱ弱いには弱いから、ちと眠い。」
秋紀を助ける為に、思い付いたのは、先に部屋へと戻す事。
何で、こんな事を言い出したか分かったようで立ち上がる。
「先、部屋戻るぞ。りらも一緒に。」
「…え。」
まだ飲みたい、と思いはしたものの。
自分から戻らせようとしたから、拒否をする事は出来ず。
秋紀と部屋に戻った。