第10章 墓参りはプチ旅行
‐木葉side‐
部屋の中に入ると、テーブルの上に置かれていた封筒を手に取る女。
それを示すようにヒラヒラと振っている。
「コレと、私が、ケージくんの言ってた秘密兵器。
でも、事を起こす前にコノハアキノリに聞きたい事があるんだけど。」
「何だよ?」
「姉ちゃんにあった出来事、どうして知ってるの?」
「…それは。」
「木葉、ストップ。」
質問に、答えようとした所で、目の前にデカイ手。
黒尾に制止されて口を閉じた。
交渉とか、すんならコイツのが上手いだろうから、任せる事にする。
「それ、木葉が答えたらこっちの質問にも答えるよな?」
「内容によるかな?」
「なんで、りら大嫌いなお前が、危険を犯してまで赤葦に協力するか、だ。」
「それなら、私が先に答えても良いよ。」
「じゃ、そちらからドーゾ。」
予想通り、上手く相手から喋らせる事に成功したようだ。
「私、別に姉ちゃん嫌いじゃないよ。ウジウジして、嫌な事ガマンすんの、見ててイライラするだけ。
だから、姉ちゃんに嫌な事をしたヤツは、許さない。ケージくんが、それに復讐する機会を与えてくれたから、ノっただけ。」
女の口から語られたのは、なんの不思議もない家族愛と…。
「それに、ね。私、昔も一回だけやってるの。犯罪紛いの事して、姉ちゃんをイジメた人達に復讐。
まぁ、姉ちゃん自身が罪を被っちゃったのは予想外だったんだけど。」
思い出したくもねぇ事件を、思い出させてくれた言葉だった。