第2章 初めて迎える朝
トーストと目玉焼き、サラダ。
それだけの朝食をテーブルに運んで、向き合って座る。
この家に元同居人の人達は来るけど、泊まりはしてくれないから、誰かと朝食を一緒に摂るのは久し振りの事だ。
その相手が、木葉さんだと思うと嬉しい。
いただきます、と食事を開始する挨拶をしてトーストに口を付けた。
「…あの、さ。」
食べながら、始まる話。
元来、喋るのは得意じゃないから、聞いているのを示すように視線だけ向けた。
「…俺な、お前と木兎達…勿論、黒尾とか月島も含めた、この家での絆ってーの?否定したくねーんだ。」
それは、昨晩の自分を否定しているとは思わないのだろうか。
もしかして、手を付けたから、私に対する興味が薄れて余裕が出来たのだろうか。
なんで、いきなりこんな話を始めたのか分からなくて、悲観的な事ばかり頭には浮かんでくる。
「ぶっちゃけ、ベタベタされっと腹立つけどな。お前と、出会ってからの時間は俺が一番長くても、濃い時間を過ごしたのはアイツ等だって、分かってっし。」
悪い意味は無いことは分かったけど。
余裕じゃなくて、我慢する意思表示だと知った。
我慢なんか、させたくないの、伝わっていなかったんだろうか。
悲しくなって、食事を続ける気すら無くなってしまった。