第10章 墓参りはプチ旅行
‐きとりside‐
りらは、バカだ。
バカ正直な子だ。
吐いていてもイイ嘘、隠しておいてイイ事が、分かっていない。
だから、あの旅館を予約していたんだ。
りらを、弄んだような男が居る、あの場所を。
きっと、りらは今でも自分を汚いと思っていて。
それを木葉クンに隠し続けるのが辛くなったんだろう。
だからって、元々が口下手なりらが自分からそれを喋る事は出来ず。
あの食事処で、ご飯でも食べる時に違和感のある行動をして、聞いて貰おうとしている。
相変わらず、そういうトコは面倒臭い。
でも、そのお陰で行動を起こす前に気付けた。
何があっても、独りにしないでおいてやれる。
それを、クロとツッキーに話した。
2人とも、りらの身に起きた出来事を思い出したようで、表情に怒りが滲む。
「…センパイ、今から人数増やせるか?」
「さっき、確認取った。部屋は増やせないから、同室になるけど人数的には平気だって。あの部屋、広いから。」
「食事処の方の予約はどうなんです?」
「元から、一般の食事のみも受け付けてるからコースの追加じゃなきゃオッケーだって。」
2人からされる質問は、一緒に居てくれる事を示していた。
ホント、コイツ等はりらを大切にしてくれているから有難い。
安心して、りら達の元へ戻った。