第10章 墓参りはプチ旅行
答えられない。
だって、昨日の話とあまりにも矛盾している。
「…後で、女の子同士のオハナシしよっか。」
「子って年齢じゃない。」
「もう!可愛いげが無いコね。」
迷っていると今は聞くのを諦めたみたいだけど、突っ込むように返した言葉が気に入らなかったらしい。
今の私には深く突き刺さる事を言われてしまった。
「…センパイ、人の事を呼び出しておいて、りらとばっか話してんなよ。」
「…あ、ごめん。」
「…で、何か用でもあったか?」
「あぁ、来てるなら都合が良いなって思って。」
「自分の都合だけで、人を呼び出す権利あります?」
「権利は無いから、戻って来れないか問い掛けただけよ?来てくれたのは、アンタ等の意思でしょ。」
傷付いても、顔には出にくい私の心情に気付く事無くきとりちゃんは黒尾さん達と会話を始める。
「あ、りら。クロ達と話があるから、もうちょっと待ってて貰える?」
私に聞かれたら困る話でもあるのか、声を掛けて3人は少し離れた場所に行ってしまった。
多分、きとりちゃんは私がやろうとしている事に気付いている。
覚悟を決めて、今日この人に知って欲しい事を伝えると。
もし、それで拒絶された場合を考えて、2人を呼んだんだろう。
最悪の方向になっても、傍に居てくれる人がいる。
それでも、嫌われる事が怖くて手を握る力を強めた。
「なーに?仲間外れにされちゃって、淋しい?りらは、意外に淋しがりだよな。そーゆートコ、マジ可愛い。もっと俺に甘えてくれて良いんだぞ。」
指先を絡めるようにして握り直された手。
その温もりと、降ってきた言葉が私を安心させてくれた。