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【HQ】繋がる縁の円

第10章 墓参りはプチ旅行


自分から抱き締めにきておいて、人前であったからといって恥じらうなんて乙女である。

「可愛い。」
「男に可愛いは、褒めてねぇぞ。」
「褒めたつもりはない。大丈夫。」
「りら、大丈夫の使い方間違ってんぞ。」

漏れた心の声を拾って、拗ねた顔をする秋紀が可愛いのは間違いない。
その顔が、とてつもなく愛しい。
でも愛しい、を言葉や顔で表現したりする事が出来ないから、そっと手を握った。

拗ねた顔が、照れたように笑って、手を握り返してくれる。
秋紀の、女子力が高すぎて、負けた気分にすらなった。

秋紀が女みたいな性格なら、私は男っぽくても良いと思っていたけど。
流石に、これでは可愛いげが無さすぎる。
ちょっと、手を繋ぐくらいで恥ずかしがれる可愛いげが欲しい。

「ごめーん。待たせて。…って、あれ?りら、なんか機嫌ナナメちゃん?」
「別に。」
「あ、そ。どうせ、ツッキーと会って早々ケンカでもしたんでしょ。」

落ち込みそうになっていた所で、墓参りを終えたきとりちゃんが戻ってくる。
機嫌が悪い時の笑顔は出なかったから、他の人には気付かれなかったようだけど、血の繋がった彼女に誤魔化しは効かないようで。

「…なんて、ね。ご機嫌ナナメってより、落ちてる顔してる。…木葉クンと、何かあった?」

顔を近付けて、私にだけ聞こえるように話し掛けてきた。
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