第10章 墓参りはプチ旅行
‐木葉side‐
あー…やっちまった。
親の墓前なら、ともかく…何で親戚の墓参りについてきて、こんな事したんだよ、俺。
付き合い始めた時から、ずっと結婚は意識してる。
だが、プロポーズもまだで、幸せにしますって気が早すぎだろ!
木兎に感化されてんだろうな。
アイツ、彼女にもう一回プロポーズすんだって最近騒がしいし。
だからって、今のナシ。
取り消したい。
寧ろ、今ここから消えたい。
鈍感なりらでも、流石にそういうの意識してるって気付いたよな?
伺うように、りらの顔を見る。
相変わらずの無表情で、幸せそうだとか、嬉しそうだとか、分かんね。
もうちょい、分かりやすくなんねぇもんかな、コイツ。
無理か。
この歳まで、こうやって生きてきたりらを変えてやれる程、イイ男でもねーしな。
「よぉ。りら、木葉。」
落ち込み始めたトコで、耳に入った聞き覚えのある声。
そっちを向くと、さっきの話からして、きとりサンに呼ばれただろう2人。
このタイミングでの登場は、運が良いんだか、悪いんだか。
まだ、幸せにしますって、言葉の意味を伝えてやれる時じゃねぇから、良かったと思う事にした。