第10章 墓参りはプチ旅行
‐木葉side‐
だぁぁっ!
それじゃねぇ!
そんな止め方したら更に面白がって、イジりにくるだろ!
だが、そもそも言葉を扱うのが苦手なりらに頼った俺が間違ってた。
こういう時の、話の逸らし方が分かってねぇんだ。
一人納得して、突っ込みは飲み込んだ。
「彼女に女々しいとか言われる木葉クンが憐れね。」
「女々しいまでは、言ってない。思ってるけど。」
「思ってるんだ。言うの留めたなら隠しておけば良いのに。」
「無理。」
「相変わらず、そういう事は、はっきり言うのね。サバサバしてるって言うか…男らしいって言うか…。」
「私が男みたいなら、秋紀は女っぽくても、いい。」
無言を貫いたら飽きるかと思っていたが、りらが反応を続けているから無駄だった。
しかも、何気に俺の心を抉るような事を言いやがる。
正直なのは良い事だが、聞き続ける方は結構キツいぞ。
「…俺、帰ろっか?久々に会うんだろ?女同士、話したい事とかあるだろ?」
気を遣ったフリして、話を止める。
帰るなら、今の話を聞いてたくないからで、2人の会話を邪魔したくないからじゃない。
「あ、いいよ。居て。寧ろ、私の方こそ邪魔してゴメンね。」
それで、俺が機嫌を悪くしているのに気付いたようで。
やっと俺にとって不都合な会話が終息した。