第10章 墓参りはプチ旅行

秋紀をイジるのが楽しくなったのか、きとりちゃんは出ようとした足の向きを変えて、こちらに来る。

「何？木葉クンは、ノーマルにベッドじゃないとダメ派なの？」
「違う。」
「あら？りらが断言？もしかして、ココで経験ズミ？」
「済み。」
「あぁ！もう！それを正直に答えんな！」

秋紀が、絡まれているのを助けようと代わりに答えていたら、制止が掛かった。
そこで、上げられた顔は耳どころか全体的に紅潮している。
庇われるのが嫌なようだから、黙る事にした。

「ホーント、木葉クンって可愛い反応するねぇ。何？こういう話苦手？」
「…や。俺も男なんで、猥談とか好物です。…けど、りらが話すと生々しく感じるから、ちょい無理っつーか…。」
「あー…。りらのカラダを思い出しちゃう訳ね？」

きとりちゃんの、からかいはまだ続いている。
ニヤニヤと笑う姿は、どこか黒尾さんに似ている気がした。
こういった一つの部分でも感性が合うから今でも仲が良いんだな、なんて別の事を一人で考えている。

「…おい、りら。」
「…何。」
「今のは助けろ。この人、止めてくれ。」

私を呼ぶ声が聞こえて、意識を２人に戻した。
庇われるのが嫌な訳では無かったようだ。

「きとりちゃん。秋紀で遊ばない。確かに女みたいな反応するから楽しいけど。」

求められた通り、きとりちゃんを止めるべく声を掛けた。