第10章 墓参りはプチ旅行
最近、色々あったけど、それを乗り越えられたようで、私と秋紀の関係は良好だ。
相変わらず、お互いの家を行き来して半同棲のような生活をしていた、ある日。
私の住んでいる家の方に秋紀が来ていて、晩御飯を終えた頃に扉が開く音がした。
「…タダイマー。りら、誰か来て…。あ、ゴメン。邪魔した。」
そして、リビングに入ってきたのは、この家の本来の主、きとりちゃん。
普通に話をしていただけの状態なのに、秋紀の顔を見た途端に体の向きを反転させて出ていこうとした。
「邪魔じゃない。出てかなくて、いい。」
「いや、でもさ。折角の家デート中でしょ?ほら、私はネカフェでもカプセルでも泊まるから、ラブラブなさって?
多少は散らかしても、汚してもオッケーだから存分にどーぞ。」
すぐに止めたけど、親父臭い返しをされて、呆れを混ぜた溜め息を吐いた。
「散らかして、汚したら掃除するの、私。」
「そりゃ、アンタが住んでるんだから当たり前だけど。ほら、イイ雰囲気になった時にその場でー…とか、ヤりたくならない?」
私もそうだけど、きとりちゃんも、下品な話に抵抗がないようだ。
こんな、下に片寄った会話をしていると、ナニを想像したのか、秋紀の耳が少し赤くなって。
更に私を見ないようになのか、明らかに顔を逸らした。
「私達より、木葉クンの方が、よっぽど乙女だね。」
それに気付いたきとりちゃんが、からかうように声を掛ける。
「秋紀、可愛らしい。」
ノった訳じゃないけど、口から正直に思った言葉が出て。
秋紀にとって、これがトドメになったようで、テーブルに突っ伏して顔を隠した。