第9章 名前を呼んで
‐木葉side‐
俺、なんで、タメ口は嫌かを聞いたよな。
それが、何故。
「木葉さん、髪、薄くなりそうですね。身長も、あまり高くないですし。」
ハゲそうだとか、背が低いだとか、ディスられてんの?
無表情で、眉一つ動かさずに言うから、マジでそう思ってんのは分かる。
それに、見た目で付き合ってる訳じゃねぇとも言われてるが。
今言う事か?
「…ちょ、待て。思ってても良いが、それ以上は止めてくれ。」
「…だから、です。」
ダメージがデカすぎて、止めにかかる。
それで、返ってきた言葉は意味不明。
「私、目から入る情報で人を分析しようとするんです。表情や感情を読むのが苦手な分、見た目で情報を得ようとして。感情面以外で見た目を分析すると、粗探しになってしまうみたいで…。
敬語を使っている内は、目上の方との会話だと思って口に出すのは留めますが。」
首を傾けて説明を求めると、俺の見た目で判断した正直な意見を言っただけなのが分かる。
ハゲとかチビが嫌だとかいう感情は抜きにして、見たまま思ったから口から出した。
タメ口を使うと、これが増えると言いたいらしい。
こういう事、言われても許せるならタメ口で話をしてくれるって意味だろう。
りらは、正直者で。
敬語を使っていても、口が元々キツいの、気付いてねぇのか?
「それでも、いーぞ。りらが俺を嫌いで言う訳じゃねぇの、分かってっから。」
昔から、コイツの言葉の足りなさと、痛いトコ突いてくる言葉には傷付けられてきた。
今更、そんなので嫌がる訳ねぇよ。
正直な所も、りらの魅力だって、俺は知ってんだから…。