第9章 名前を呼んで
私の考える酷い事というのは、普通の人なら確実に傷付くような事だ。
メンタルが弱い人には特に言ってはいけないような事。
こうやって、抱き合って甘い感じになっていても、目に入った情報、容姿面で悪い事を考えてしまう。
中身は、優しくて、私を大切にしてくれる、これ以上ないくらいの人なのに。
見えている情報で判断するのは粗探しするようで、申し訳ないけど、止められないのだ。
因みに、どんな事を考えるのかと言うと。
木葉さんの髪の毛。
サラサラで綺麗だけど、一本一本が細くて、将来は薄くなりそう、だとか。
木葉さんの身長。
一般的には高い方だろうけど、私の周囲には180オーバーがゴロゴロいる為、小さく見える、だとか。
しかも、言葉の少ない私は理由を言いもせず、薄くなりそう、だの、小さい、だの言ってしまう。
「なんで、タメ口は嫌なんだよ?」
そんな事を私が考えているなんて、予想もしていないだろう木葉さんは、タメ口を諦めきれないようだ。
「…木葉さん。何を言っても傷付きませんか。」
言わないように気を付けても、多分口から漏れてしまう。
先に伝えておけば、傷付けても最小限に抑えられると思った。