第8章 仲直りの仕方
木葉さんに、もう一度言おうか。
必要ない、の言葉を。
我慢しなくていい、と意味を付け加えて。
「俺、木兎達との関係は否定したくねぇって言ったろ?そうやって、カッコつけといて、結局は妬いてこのザマだ。
カッコ悪ィし、小せぇ男だろ?」
口を開こうとした時、鼻で笑うような音と、続けられた声。
私達の関係を否定したくないから、我慢する事を自ら選んでいるのは知っていたけど。
それで機嫌が悪くなるなら、我慢しない方を選んで頂きたかったのが正直な感想。
だからって、格好悪いとも、小さいとも思わない。
だって、こうやって弱音を口に出して人に晒す事は、とても勇気がいる事。
それが出来る人は、強い人だ。
「木葉さんは、格好良いです。…あ、顔立ちじゃなくて。」
「…お前、一言余計な?」
首だけで振り返ると、拗ねたように口を軽く尖らせている。
格好良いより、反応が可愛いな、この人。
口に出したら、また落ち込まれるから言わずに、会話を続けた。
「顔で好きになった訳じゃないです。」
「ウン。嬉しいのか、悲しいのか微妙だぞ。」
「私なんかに好かれるのは迷惑ですか。」
「いや、そりゃ嬉しいに決まってんだろ。」
「それなら、良かったです。」
さっきまでの、暗いような雰囲気は無くなって、普通に話が出来るようになってくる。
それが嬉しくて、顔が緩んだ。
「あー…もう。ホントお前可愛すぎか。」
抱き締める力が強くなって、首元に頭をすり付けられる。
動物みたいだな、とか思ったけど、ご機嫌が良さそうなので黙ってさせておいた。