第8章 仲直りの仕方
木葉さんが肩を落としている。
私が、怒っている意味を理解出来ないのが、そんなにショックなんだろうか。
赤葦さんに、これで仲直り出来るって言われたけど、無理かも知れない。
「なぁ。」
「…はい。」
顔から手を離した木葉さんが、私を見ている。
そして、自分の足の間の床部分を叩いていた。
「ココ、来てくんね?」
意味が分からない。
まだ私の事を怒っているんじゃないのか。
拒否をして、取り返しがつかない事になったら嫌だから、その場所に膝立ちで移動する。
向き合う形で、座り直そうとしたけど肩を掴まれて止められた。
「逆向き、な。俺、前から言ってんだろ?お前の顔見ながらじゃ、恥ずかしいコト言えないって。」
「…はぁ。」
今の状況で、木葉さんが恥ずかしい事を言う必要あるのか。
やっぱり、意味が分からないけど指示には従って背中を向ける。
寄り掛からないように隙間を空けたけど、すぐに後ろから抱き締められて距離は0になった。
「…お前が奪われるんじゃねぇかって不安なの、俺は。
自分に自信、ねぇんだ。お前とか木兎を、信用したくても、自信がねぇから不安になんの。」
耳の近くで語られていく言葉。
それで、嫉妬して怒ったのは分かった。
でも私は、嫉妬とかは我慢しないで言ってくれ、と話してある。
木兎さん達との距離感が近すぎるのが嫌なら、こんな状態になる前に言って欲しかった。