第8章 仲直りの仕方
‐木葉side‐
そんなに好きじゃない。
そう、言われる気がして。
顔を見んのが、怖い。
「…私、木葉さんの事。」
「…うん。」
だが、聞いてねぇフリは出来ねぇな。
喋るのが苦手なコイツが、頑張ってんの分かるから。
次に聞こえる言葉が、苦しいものだと思っていても、先を促す為に頷く。
「信じてます。」
「…は?」
今、なんつった?
一瞬で意味が分からなくなって、口から零れた疑問を表す一音。
「木葉さんの事、信じてます。」
反応して、同じ事をもう一度言ってくれたが、やっぱ意味が分かんねぇ。
「…女性と軽口叩いても、裏切らないと信じているから、不安は無くて。不安が無いから、嫌とか思えなくて。
だから、木葉さんが怒ってる理由が分からないんです。木兎さんだって、きっと本気で手を出す気は無かった。未遂なのに、何も無かったのに、なんで怒るのか分からない。」
珍しく、説明まで加えてくれたから納得はいったが。
それは、俺がコイツを信用しきれねぇから、疑って怒ったと言われている気がした。
なんつーか、完敗。
イイ女過ぎて、コイツに勝てる気しねーよ。
やり方は間違ってるが、慰め方が、ソレしか思い浮かばないようなヤツで。
木兎が最後までは手を出さない事まで分かってた。
だから、拒否をしなかった。
俺だけじゃなく、アイツ等の事も信用してるからこそ、コイツは俺が怒る意味が分からない。
こんだけ惚れた女も、色々あったが再会してまた友人やってる木兎も、信用しきれなかった俺の負け。
自分の器が小さい事を自覚して、大いに落ち込んだ。