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【HQ】繋がる縁の円

第1章 再会の裏話


気まずくて、お店にはもう出れないと思っていたけど、翌日にはかおるさんから電話があって。
その翌々日には、普通にお店に出ていた。

その日も、木兎さんが当たり前のようにお店に来て、された話。

「そーいや、梟谷が改装すんだってよ。りらちゃん、知ってた?」
「いえ。」
「終業式まで終わったら、卒業生が自由に入れるらしいぜ?」
「そうですか。」

カウンターを挟んでの会話。
私は、あの学園が嫌いである。
だから、興味がない。

「な、一緒に見に行かね?」
「嫌です。」

思い出したくない、思い出ばかりの場所なんて行きたくない。

「いいじゃない。行ってくれば?行かないで後悔するより、良いんじゃない?」

本気で拒否したけど、かおるさんのアシストで木兎さんが本格的にノり気になってしまった。
ぎゃーぎゃーと、騒いでいる。

伝える後悔と、伝えない後悔なら、後者の方が辛い。
嫌な思い出のある場所に、行く後悔と、行かない後悔なら。

私が選ぶのは前者だ。

昔を思い出して、辛い気持ちになっても、今の私は大丈夫だと言ってくれる人がいるから。

でも、1人で木兎さんを相手し続けるのは辛いな。

「…赤葦さんも、一緒なら良いですよ。」
「いーぞ。じゃ、いつにする?」
「いつでも。」

条件を付けて、承諾すると嬉しそうな顔をしてくれた。
かおるさんと親指を立てて合図しあっていた意味を知る事になるのは、運命の再会を果たした日の事でした。
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