第8章 仲直りの仕方
飲み物を持ってダイニングに戻ると、喜んで缶を手に取る木兎さん。
「俺等の、なんだっけ?門出?…に、カンパイ!」
「…門出って、結婚するんじゃねぇんだから。」
「え?するだろ?」
「すぐには、しないよ。それに、ちゃんとしたプロポーズもして欲しいし。」
「ちゃんとしたプロポーズ?…指輪持ってやるやつか?」
「それが当たり前ですよ。女性はプロポーズや結婚に夢もあるでしょうから。」
「マジか!」
木兎さんが音頭を取り、飲み会がスタートする。
4人で、あの告白だかプロポーズだかの話をしていた。
その様子を見ていると、とてつもなく悲しくなる。
だって、皆の中心は、いつだって私だった。
人と関わる事が苦手な私を、独りにしないように皆が気を遣ってやってくれていたの、分かってるけど。
今の状態で、それに耐えられる程に強くはなくて。
かといって、顔に出る事も無くて。
話し声を聞きながら、孤独感ばかりが増していく。
その内、料理を持ってきた木葉さんが合流しても、状況は変わらず。
何で自分がこの場にいるのか。
本当にいてもいいのか。
それすらも、分からなくなってしまった。