第8章 仲直りの仕方
30分もしない内に、目的地に着いたようで気まずい時間は終わる。
促されて車から降りると、目の前にはコテージがあった。
確かに、これならチェックインだとかの時間を気にする必要はない。
本当に、いくらお金を掛けたんだか。
割り勘だと言われたら、私の財布事情は本格的に厳しい事になる。
木葉さんとの事だけでなく、現実的な金銭面の事まで問題が浮上してきて、気が気じゃないままコテージの中に入った。
昼の内に、一度来ていたらしい2人が、案内するように先を歩く。
着いた部屋は、とても広いダイニングルーム。
カウンター越しにキッチンが見える。
木葉さんが、そちらに歩いていったから後ろをついていった。
「手伝います。」
多分、今から料理をするのだろう。
少しでも役に立てば、仲直りが出来ると思っての申し出。
声に反応して一瞬だけ振り返ってくれたけど。
「先、アイツ等と飲んでろ。」
遠回しにお断りされた。
冷蔵庫の中から取り出されたアルコール飲料を渡されて、その場から追い出される。
粘って残る事も考えたけど、拒否されるのが目に見えていた。
こういう時、何が正解か分からない。
いつも、私の無神経な、世間知らずな行動に苛つかせたりしていたけど。
寛大に受け止めてくれていた木葉さんを、ここまで怒らせて。
仲直りする方法が、思い浮かばなかった。