第8章 仲直りの仕方
運転は、黒尾さん。
助手席には、赤葦さん。
その真後ろの席に木兎さんとかおるさんが座ってて、私と木葉さんは一番後ろ。
並んで座っても、やっぱり気まずくて変な隙間を空けてしまう。
「黒尾さん、場所分かります?」
「昼に木葉と一回行ってるから大丈夫だろ。」
最前列の話し声に違和感を覚えた。
東京に戻る訳じゃなさそうだ。
「なーなー。ドコ行くんだよ?俺、腹減った!」
「うっせーな。もうちょい我慢しろ。」
私の疑問は木兎さんの口から出たけど、返事をした黒尾さんの言葉は答えじゃなくて不安になってくる。
最前列の2人でなくても、行き先を知っている筈の人がもう1人。
私の隣に座っているけど、これを会話のきっかけにする勇気はなかった。
移動を始めた車の中で、目の前の木兎さんはかおるさんとベタベタし始めるし。
それを挟んで最前列に話し掛けるなんて出来ず。
黙ったまま、目的地への到着を待っている。
木葉さんを眺めていると、たまに目が合ったりするけど、すぐに逸らされるの繰り返しだった。
喋らないのが辛いとか今まで無かったのに、この沈黙はとても辛い。
会話なんて出来る気がしなくて、窓から外を見ている事にした。