第7章 告白大作戦!
‐かおるside‐
木兎は、真っ直ぐ走ってきてくれた。
隣のりらちゃんじゃなくて、迷わず私の事を抱き締めてくれた。
私を、一番にしてくれた。
「木兎、あの…あのさ。返事、したい…んだ、けど。」
すぐにでも、私も好きだよ、って伝えたいのに、羞恥心もあって声が上擦る。
そんな状態で答えきれないまま、木兎は主催者に呼ばれて設置された舞台の方に行ってしまった。
舞台の上で主催者と話をしている木兎。
たまに私の方を見ては、ピースしたりと合図してくれるのが嬉しかったけど。
『…えー…。では、表彰式の前に、優勝チームの選手から一言!勿論、さっきの彼女さんに向かって、どーぞ!』
突然聞こえたスピーカーからの音声で、また注目されてしまって焦る。
こうなると、嬉しいより恥ずかしい。
隠れようと思っても、りらちゃんは味方してくれないみたいで、私の背中を押した。
一歩、舞台に近付いて、更に注目度が高まって、周りを伺うようにキョロキョロしてしまう。
「かおるちゃんっ!来い!」
スピーカーが無くても、響いた声。
そちらに視線を向けると、両方の腕を広げた木兎が待っていた。
足が、勝手に動く。
ちゃんと、返事をしたいから。
木兎の気持ちに、応えたいから。
舞台の前まで行くと、差し出してくれた木兎の手に掴まって、壇上へ。
目の前に立った瞬間に、自分から抱き着く。
「私、木兎の事、大好きだよ。」
「おぅ!」
返事として自分の気持ちを伝えると、強く抱き締め返してくれた。