第1章 再会の裏話
‐木兎side‐
今日は赤葦と、りらちゃんに会いに来た。
けど、店に入ろうとした時にりらちゃんが出てきて、挨拶もしねーでどっか行っちまった。
ちょっと変かな、と思ったけど取り合えず店に入る。
「りら、さっき出ていきましたけど、何かしました?」
俺が聞くより先に、口を開いた赤葦。
お前、なんかイアツしてるぞ。
そんなんじゃ、怖くて話せねーだろ。
「…あぁ、いらっしゃい。」
かおるちゃんもなんか、元気ねー感じだった。
それでも、赤葦のイアツにも負けないで話してくれた。
聞いてて、出たのは溜め息。
「なぁ、赤葦。りらちゃんは…。」
赤葦に同意を求めてみる。
「でしょうね。」
やっぱ、赤葦も分かってた。
「だよなー。俺等じゃ、りらちゃんを幸せにしてやれねーのか?」
「…さぁ?少なくとも、りらが、幸せの形を恋愛や結婚、と思っている内は無理でしょうね。俺達じゃ、役不足みたいなんで。」
「私が入り込んで良い話じゃないの分かってるんだけど、さ。りらちゃんと、その人は…会‘え’ないの?会‘わ’ないの?」
俺等の会話に割り込むかおるちゃん。
2人は、会えないんじゃない。
会わない。
会いたくても、会わ…。
なんでだよ?
アイツ等、両想いだったろ?
なんで、会わねーんだ?
俺等の為?
俺等の所為だろ!
りらちゃんの、幸せにはやっぱ木葉が必要だ。
「…なぁ!赤葦!」
「何ですか?」
「俺、りらちゃんを幸せにしてやる!」
「無理だって話をしたばかりじゃないスか。」
「あるじゃねーか。俺等がりらちゃんを幸せにする方法!」
宣言して、立ち上がる。
「っつーワケで、俺は行ってくんな!かおるちゃん、あかーしの分も俺にツケといて!」
りらちゃんが、幸せなら俺も嬉しい。
だから、アイツ等がもう一回会えるように俺がしてやろうと思って、木葉の勤め先に向かった。