第41章 あなたの為なら☆秀吉
『ん?あきら之丞、こんなとこにいたのか?少しでも休んでおけよ。いつ合戦になるか解らないんだからな。』
秀吉さん…。
ぐっと下唇を噛むと、笑顔で答える。
『はい、ありがとうございます。』
その時だった。
『敵襲ー!!敵襲ー!!』
叫びながら家臣の一人が天幕の中に駆け込んできた。
『おい、どこの陣にだ!?』
秀吉が尋ねると、家臣が息も絶え絶えに答える。
『き、北側の政宗様の陣にございます!』
そうか、と言うと秀吉は持っていた竹筒の水を家臣に飲ませた。
『政宗の陣なら、この本陣からは一番遠いか…あきら之丞は下がっていろ。ここは三成に任せて、俺は出る。』
そんな…今、バラバラになったら いけない気がする。
『私もお供します!』
秀吉の返事も待たず、急いで支度をすると馬にまたがった。
『お前…何があるか解らないんだぞ!?』
死ぬかもしれない、って言ってるんだよね。
『その言葉、そっくりそのまま お返しします。』
あきらが きっぱりと言う。その顔を見て決意が変わらないことを悟ると、秀吉は渋々 あきらと他の兵達をを引き連れて天幕を出た。
幾らか馬を走らせると、ワーッという人の声と金属のぶつかる音が聞こえてくる。
『お前は離れたところにいろ、いいな?』
『はい。』
逆に足手まといにならないようにしないと…そう思いながら少し離れたところで馬を止める。
でも、やっぱり情報は確かだったんだ。
明日にも攻めてくるかも、みたいなこと言ってたよね。
その通り、日付が変わった途端に攻めてきたんだ。
そんなことを考えている間も、秀吉は ばったばったと敵をなぎ倒していく。
良かった、こっちが優勢みたい。
ホッとした時、秀吉の左側 死角になる辺りから ゆっくりと敵兵が近づくのが見えた。
秀吉は前の多数の敵を相手にしており気付いていない。
危ない!
条件反射で馬を走らせると思いっきり手綱を引いた。
ヒヒ〜ン!
馬は嘶きと共に大きく前足を上げ、その敵兵の背中に振り下ろす。
ぎゃあっ!と悲鳴を上げて敵兵が倒れた。
ご、ごめんなさい!
『あきら之丞!助かった、すまない。』
『いいえ。』
その後も押しつ押されつの戦いを繰り広げながら、なんとか敵兵の殆どを制圧するまでになった。