第41章 あなたの為なら☆秀吉
【豊臣秀吉は謀反を企んだ明智光秀を滅ぼすと、信長の後を継いで天下統一を果たす。
後に徳川家康との戦いにも勝利。
刀狩令を出して農民から刀を取り上げたうえ、高い税金を掛けて苦しめた。
その傍若無人ぶりに怒った家臣達が反乱を起こし、自室にて殺害される。】
『な、なにこれ!?』
全てを読み終わる前に思わず叫んでいた。
しーっ、と言う佐助の声も耳に入らない。
秀吉さんは光秀さんや家康と仲良し…っていうのとは違うけど、信頼しあってる関係のばす。
それに領民や家臣達にも優しくて慕われている。
『こんなの、デタラメだよっ!』
声は抑えながらも怒りが収まらない。
『うん、今の豊臣秀吉からは考えられないよね。
でも ここに書いてある事は現実なんだ。どういう経緯で そうなるかまでは解らないけど。あ、待って、ここに…。』
そう言うと佐助は目を見開いた。
『どうしたの?佐助くん。』
ここを、と佐助が指差す先を見て、あきらも目を見開いた。
【秀吉の側近の話によると、秀吉は、織田家ゆかりの武将(あきら之丞)が上杉・武田との戦いで命を落として以来、人が変わったように冷酷になったと…】
私も…死ぬって事?それも この戦で?
『…どうする?あきらさん。もうあまり時間が無い。』
そんな…。
俯いて暫く考えた後、あきらは意を決したように顔を上げた。
『やっぱり私は現代には帰らない。
私が死ぬって言うんなら、なんとかして生き抜いてみせる。秀吉さんに そんなつらい生涯を迎えさせない!
だから、ごめんね佐助くん、現代には一人で帰って。』
泣きそうな顔で告げると、佐助がニッコリと笑った。
『やっぱり?そう言うと思った。実は俺も大切な人達を置いてはいけない。俺も残るよ。
一緒に なんとか抗ってみよう。おっと、そろそろ…じゃ、生き延びたら また安土城で。』
佐助は そう言い残すと、風のように去っていった。
私も こうしてはいられない。
『と言っても…本人に言うわけにもいかないし。』
どうしたらいいんだろう。ひとまず中に戻らないと怪しまれる。