第61章 愛しい☆佐助
『わ、このお酒 美味しい!』
なんでも、宴用のお酒は全部、佐助くんが選んだらしい。
『あきらさん、目が高い。それは俺のオススメ。
華やかな香りを特徴としながら味わいとの調和がとれていて、どんな食事にも合う。
で、こっちが甲斐駒の峰の澄んだ水と山梨産の酒米で作られた酒。ちなみにスパークリングもある。』
『すぱあ…なんだ?』
信玄さまが不思議そうに訪ねていた。
それにしても佐助くんって何でも知ってて凄い、とあきらは改めて尊敬の眼差しを送る。
すると佐助も、まるでそれに答えるようにあきらを じっと見つめていた。
な、なんだろう。そんなに見つめられたら恥ずかしいんですけど…。
『佐助…くん?』
『あー、やっぱりな。誰だー?佐助に強い酒、飲ませたの。』
やれやれといった顔の幸村が佐助の目の前で手をヒラヒラさせている。え、佐助くん、酔っぱらってるの?
言われてみれば目の焦点が合ってないような。
『あきら、佐助を部屋に運ぶの手伝ってくれ。』
『うん、解った。』
幸村に言われてあきらも肩を貸す。二人で部屋まで運びゴロンと畳の上に寝転ばせた。
遠くで『幸~、どこだー?』と信玄さまの呼ぶ声がする。
『はぁ。向こうにも一匹、虎がいたか。』
『ふふっ。 ここは大丈夫だから幸村は信玄さまのとこに戻ってあげて。』
すまない!と申し訳無さそうに幸村が広間に戻った。
なにか掛けてあげないと寒いよね。
あきらは着ていた打掛を脱いで、そっと佐助の体に掛けた。
すると、パシッとその手首を掴まれる。
『あ、ごめん、起こしちゃった?』
『眠ってないし酔ってない。2人きりになるにはこれが一番効率がいいかと思って。』
『え?きゃっ!』
ぐいっと引っ張られるのと同時に佐助がぐるりと体を反転させあきらに覆い被さる。
『あきらさん、俺は自分が思っていたより独占欲が強いらしい。』
佐助が「チュッ」とあきらのおでこにキスをする。
『嫌なら今のうちに言って。途中では止められそうにない。』
『私は…佐助くんになら、何されても…いい。』
佐助の熱い瞳と体で、朝まで酔わされるあきらだった。