第41章 あなたの為なら☆秀吉
良かった、そろそろ終わりそう。
拙いながらも刀を振っていたせいで、あきらの息も上がっている。
馬から降り、重い刀を下ろす。
その刹那、気が緩んだ。
あきらの足元で倒れていた敵兵が ガバッと起き上がり大きく刀を振り上げた。
『覚悟!!』
あきらが刀を構えようとするが間に合わない。
嘘!これじゃ 未来が変わらない…!!
『うぐっ…。』
すると、敵兵がうめき声を上げて、ゆっくりと前のめりに倒れた。背中に深々と懐刀が刺さっている。
その向こうに怒りを露わにした秀吉が見えた。
『秀吉…さん。』
呟くように名前を呼ぶ。
秀吉が走り寄り、ガシッとあきらを抱き締めた。
『馬鹿野郎!完全に勝つまで、戦場では絶対に気を抜くな!』
こんな厳しい口調の秀吉さん、初めて…。
『すみ…ま…せん。』
『お前に何かあったら…お前がいなくなったら…俺は生きていけない!』
え…。
『あきら之丞、お前のことが好きだ。例え お前が男でも俺は…。』
『女です。』
『ああ、女でも…なに!?』
『すみません、今まで隠していましたが、私は列記とした女です。だから、秀吉さんが そんなに悩む必要ありません!』
秀吉が目をパチクリと瞬かせている。
『え、女って…そうなのか!?』
『はい、それに この時代の人間ではありません。500年後の未来から来ました。』
もう、何処をどう驚いていいのやら、といった感じで秀吉の瞬きは収まりそうにない。
『お前は嘘を言うような奴じゃ無いからな…。信じるよ。しかし他のみんなは知ってるのか?』
ぶんぶん、とあきらが首を振る。
『そうか…お館様もご存じないんだな?解った。ひとまず本陣に戻ろう。』
二人は再び馬に跨り、本陣へ戻るのだった。