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イケメン戦国/偽りの君

第39章 新たなる戦い


あれって…?
自分の側にいれば安全だ、と言われていた気がしてあきらは立ちすくむ。
織田軍を撃ち破るのを前提にしたような物言いに、複雑な気持ちになる。

でも今はとにかく、みんなの所へ行かなくては。

再び走り出すと大広間の襖を勢いよく開ける。
案の定そこには武将達が雁首を揃えていた。

『遅かったな。昼餉なら ちゃんと取ってあるから心配するな。』

焦った顔のあきらを見て、政宗が言う。

『ありがとう。いや、そうじゃなくてっ!
また戦が…始まるんですか?』

眉を寄せながらあきらが尋ねる。

『ああ、そうだ。今日、明日にはな。』

信長が淡々と答えた。

『あきら之丞、貴様も もちろん一緒に来い。安心しろ、今回は囮などと手緩いことは せん。
皆、一緒だ。』

一緒でも安心は出来ないよ!と、突っ込みたい気持ちをぐっと堪える。

『出立は いつですか?』

『向こうが明日にも打って出るというのなら、我等は今日にも立つ。貴様も急ぎ支度をしろ。
皆の者も話は以上だ。準備に戻れ。』

皆が『はっ!』と返事をして、それぞれの場所へ散っていく。
それを目で追いながら、あきらは動けずにいた。

私も急いで支度しなきゃいけないのに…。

そんなあきらの額をコツンと政宗が小突く。

『お前は ひとまず飯を食え。部屋に置いてる。』

こくん、と頷くと踵を返し、早足で広間を出た。
部屋に戻ると、真ん中に布巾を被せた膳が置いてある。

パンッ!

あきらが勢いよく自分の両頬を叩いた。

『まさしく、腹が減っては戦は出来ぬ、だ。取り敢えず、いただきます!』

そう言うと冷えた膳をパクパクと食べた。
さっさと食べ終え支度に掛かる。
秀吉から、念の為にと以前 貰っていた甲冑を着る。
軽めの物にしといた、って言ってたけど…やっぱりなかなか重い。
この時代の人達って凄いんだな、と今更ながらに思う。

『私も筋力ついてなきゃ無理だったかも。』

ありがとう筋肉。まさか自分の筋肉に礼を言う日が来ようとは。
なんとか支度を済ませ部屋を出る。
丁度、少し離れた廊下を歩く家康と目があった。

『そうしてると、あきら之丞でも一応 見れる姿になるね。』

いつもの物言いに少しだけ安心する。

『お褒め頂いて光栄です。』
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