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イケメン戦国/偽りの君

第39章 新たなる戦い


少し歩くと見慣れた風景が見えてきた。
良かった、この道で合っていたらしい。
ほっと胸を撫で下ろし、歩を進める。

少し急がないと…。

もうすっかり昼は過ぎてしまっているので、政宗からは文句を言われそうだ。
しかし、この時代に来てから変わったことがひとつ。
無意識に体を使うので体力がついた。
実は二の腕に やんわりと力こぶまで…。
女の子なら嫌がるところなのだろうが、日々 男として暮らしているせいで逆に嬉しく感じてしまう。

『このままだと女だってこと、忘れそう…。』

考え込みながら歩いているうちに城門についた。
門番に軽く会釈で挨拶をし門をくぐる。

『体力がついたお陰か、この石段も あんまり苦じゃ無くなったなぁ。』

しみじみと目の前に続く石段を見つめる。
石段を登りつめ城の中へ入ると、辺りが騒がしかった。
信長の家臣達が忙しそうに行き来している。
その中の一人にあきらが声を掛けた。

『あのー、なにかあったんですか?』

『あぁっ、これはあきら之丞さま。』

深々と礼をしようとする家臣に、あきらが お気になさらず、と手で制す。

『左様でございますか?それでは失礼致します。
実は、上杉・武田の軍が 明日にも安土に向かって兵を進める気配があるらしく…。』

そこまで聞くと、

『本当ですか!?』

あきらは思わず家臣の肩を掴んで叫んでいた。

『え、ええ。敵軍に潜り込んでいた光秀さまの斥候が、先程 持ち帰った情報とのことですので確実かと。』

ありがとう、と短く礼を言うとあきらは廊下を走り出した。

そんな馬鹿な…。

たった今まで、信玄さま達と会って話してたのに全然 解らなかった。
そんな気配どこにも…。

『あっ…。』

三人があきらに言っていた事を思い出す。

〜〜〜

『お前に怖い思いさせる奴がいたら、俺が思い知らせてやる。
お前を傷つける奴がいたら、俺がやっつけてやる。お前は俺が 必ず守る。』


『ならば、お前が俺の 思い人になってくれ。
あきら之丞が他の誰かを思っていても、俺があきら之丞を思うのは自由だよな。
俺はお前の事を誰よりも大切にすると誓うぞ?』



『俺と戦えるまでに強くなれ。弱い男はつまらん。
強くなったなら、ずっと俺の側に置いてやる。』
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