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イケメン戦国/偽りの君

第37章 約束☆信玄


『お前は 俺が死んでも悲しまないでくれるか?』

信玄の手が、そっと頬を包む。
うーん、と考えているあきらは それに気付いていないようだ。

『いいえ、悲しみます。とても。』

そう返すと、また信玄が苦しそうな顔をする。

『悲しみますけど、いつかきっと前を向いて歩いて行きます。』

あきらが信玄の目を見据えて力強く答える。
そうか、と言った信玄の顔は晴れやかだった。

『ならば、お前が俺の 思い人になってくれ。』

『は!?』

そこで、信玄に頬を包まれている事に気付く。
うわっ!咄嗟に手を掴み、下に降ろす。

『いえ、私は男…。』

ガチャン!という音がして後ろを見ると、茶屋の娘が あんぐりと口を開け、手にした湯飲みを落としていた。

『いや、あの、この方の ただの冗談で…。』

必死に言い訳するものの、娘は慌てて新しい茶と団子を持ってくると、そそくさと去っていった。
絶対 誤解されてるな、これ。誤解のされ方が なんか複雑なんだけど。
腰に手を当て、はぁーっと溜息をつく。

『信玄さまのせいですよー。もう この茶屋には来れません。』

不貞腐れてあきらが言う。

『いいじゃないか、茶屋は ここだけじゃ無い。』

のんびりとした口調で信玄が言う。
そうですけど…女子の噂は広まるのが速いんですってば!

『さっきの続きだが、あきら之丞が他の誰かを思っていても、俺があきら之丞を思うのは自由だよな。俺はお前の事を誰よりも大切にすると誓うぞ?』

うっ…。誰かさんといい、この人といい、大人って妙に色気があるから困る。

『天地がひっくり返ったら考えます!』

それだけ言うとあきらは茶を飲み干し、お辞儀だけして足早に立ち去った。

『おっと、怒らせてしまったかな?』

苦笑いしながら、信玄が頭を掻いた。
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