• テキストサイズ

イケメン戦国/偽りの君

第5章 出会い☆信玄・謙信


あきらは、目の端に人の気配を感じて身構える。

ゆったりとした歩調で、大柄な男の人が幸村に歩み寄った。

『おや?幸、その子は?』

聞かれた幸村が答える。

『あぁ、そこの崖から飛び降りようしてたんで助けたら、佐助の知り合いらしくてー。』

決して飛び降りようとしてた訳では無いけど…と思いながらも、あきらは幸村の言葉に
ウンウン、と頷く。

『そんなに若いのに身を投げようとしたのかい?さては恋の悩みかな?良ければ俺に話してみないか?』

その大柄な男の人の手があきらの頬を撫でるように掠める。

『おいっ!そいつは男ですってーの!
ったく、女じゃ飽き足りず男にまで手ーだすってか!?』

幸村が慌ててあきらと その人の間に立ちはだかった。

『おや?可愛い顔をしてるから、てっきりお嬢さんだとばかり。
これは失礼したね。俺の名前は武田信玄だ。よろしく。』

優しい笑顔であきらを見つめ話すのは、これまた有名武将ではないか…。

『あきら之丞です。よろしくお願いします。』

あきらは、深々と頭を下げて挨拶をした。

すると、その横にもう1人、男の人が立っている事に気付く。

右と左で違う色の鋭い瞳に射竦められ、あきらは動けない。

『佐助の知り合い?忍びか?』

あきらは慌てて首を振る。

『い、いえ、とんでもない!』

すると佐助が助け舟を出した。

『謙信さま、あきら之丞は、俺の地元の…武家の息子です。』

『武家の?』

キラリと男の人の目が光る。
もう驚かないけど、この人は きっと上杉謙信…だよね。

『ならば多少なりとも刀を使えよう。俺と刀を交えろ。」

ま、交えろって…刀も握った事ないよ!!

『あの…実は幼少の頃から体が弱く、激しい動きを制限されていたもので、刀には あまり親しみがありません。も、申し訳ありません。』

しどろもどろで答えるあきらに、謙信は心底つまらないという顔をして そっぽを向いてしまった。

『ふん、佐助の知り合いだと言うから、少しは骨のある男かと思ったが、とんだ見当違いだったか。』

男でも無いんですが…。
/ 151ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp