第33章 お見舞い?☆信長
あきらが また並々と酒を注ぐと、信長が飲み干す。
そんな事を暫く続けていた。
…うーん、美味しくて飲み過ぎたな。
『信長さま、私は そろそろ…。』
そう言って立ち上がると足元がふらついた。焦って欄干に手を着くが、勢いで落ちそうになる。
嘘っ!?
ガシッ!
その瞬間 後ろから力強い腕に抱きとめられた。
『大丈夫か?貴様と酒を酌み交わすのが楽しくて、病み上がりだというのに、つい飲ませ過ぎたな。』
信長が眉を寄せる。
『いえ、美味しい酒を頂いて色んな話が出来て…私こそ楽しかったです。ありがとうございました。』
振り向いて、にっこりと笑いながらあきらが言う。
ふいっ、と信長が目を逸らした。
あれ?
『信長さまも酔っていらっしゃるんですね。顔、赤いですもん。』
ぺこりと頭を下げ、あきらは天守を出て行った。
『俺が酔っている、か。…少しな。』
空になった盃を見つめて信長がぽつりと呟いた。