• テキストサイズ

イケメン戦国/偽りの君

第33章 お見舞い?☆信長


『退屈…しない?』

『ああ。毎度なにかとやらかしてくれるからな。次は何が起こるのかと楽しみでもある。』

さすが、噂通りの うつけ者…。

『だが…寝顔は大層 可愛らしいのだな。』

信長が しゃがみ込み、あきらの顎をすくう。
いつもより熱のこもった目に見つめられ、動けない。
ゆっくりと信長の顔が近づく。
えっ…。

『ふっ、寝顔は、な。安心しろ、弟には手を出さん。』

そう言うと顎をすくっていた手を離した。

『弟って…あれは ただのフリじゃないですか。』

高鳴る胸の音を落ち着かせながらあきらが言う。

『貴様は世話の焼ける弟みたいなものだろう?
…それとも、やっぱり小姓の方が良かったか?』

ニヤリと意地悪く笑う信長を睨み、嫌です!と答える。

『そうか、まあいい。少し付き合え。』

明らかに警戒しているあきらを気にも止めず、縁側の様に板の間が張り出した外廊下へ歩いていく。
顔だけ振り向きあきらを見て、

『早く来い。』

と即す。意味が解らないままに側へ寄ると、欄干に徳利と盃が置いてあるのが見えた。

『酒は飲めるのだろう?』

信長が徳利から盃に液体を注ぎあきらの前に差し出す。

『はぁ、たしなむ程度なら。』

両手で盃を受け取ると、日本酒のいい香りが漂ってきた。
飲め、と言われて盃に口を付ける。

『美味しい…。』

鼻から抜ける芳香が心地いい。日本酒は好きで よく飲んでたけど、これ、結構いいやつなんじゃ…。

『あのー、こんなに いいお酒を 私なんかが頂いても宜しいんですか?』

遠慮がちにあきらが尋ねる。

『こんなにいい酒だから、貴様に飲ませてやると言っているのだ。』

そう言って、もう一つの盃に酒を注ごうとする。
それを慌ててあきらが奪い取った。

『手酌はいけません!出世しないと言いますから。』

片眉を上げる信長の盃に並々と酒を注ぐ。
信長は、それを一気に飲み干すと、今度はあきらの盃を酒で満たした。

『それなら今後は貴様に酌をして貰わねばな。』

あれ、なんか…私、言わなきゃいいこと言っちゃった!?
顔を引きつらせ盃を空ける。

『顔に似合わず、いい飲みっぷりだな。本当に貴様は面白い。』

信長は楽しげに笑うと盃を振って催促する。
/ 151ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp