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イケメン戦国/偽りの君

第33章 お見舞い?☆信長


今日であきらが顕如達に捕らえられてから一週間が経つ。
怪我の方も だいぶ良くなり、起きて歩き回れるようになった。
今回は決して強がりでは無い。
前から思ってたけど、家康の薬はよく効くなぁ。
そうだ、いい加減 信長にお礼を言いに行かなくては。

…今になって、捕まった日 外に出ようとしている自分に
「一人で動くな」
と言っていたのだと気付く。
忠告を無視したうえに捕まるなんて、最悪だ。
おまけに、敵に見つからないようにと、信長は単身で助けに来てくれた。
自分の首が飛ぶかもしれないのに。

『うーん…もっと早くに お礼に行かなきゃいけなかったんじゃ…。』

後悔するが、過ぎてしまったものは仕方ない。
あきらは意を決して天守への廊下を進む。

…着いちゃった。
なるべく ゆっくり歩いたんだけどなぁ。
こほん、と咳払いをして襖に声を掛ける。

『信長さま、あきら之丞です。いらっゃいますか?』

『入れ。』

久し振りの低い声に気圧されながら、おずおずと部屋の中へ入る。
静かに信長の前まで歩み寄ると正面に正座する。

『あの…。』

お礼の言葉を述べようとしたあきらより先に、信長が口を開く。

『だいぶ顔色も良くなったようだな。』

書き物をしながら、顔を上げずに言う。

『見ていないのに解るんですか?』

不思議そうな顔であきらが尋ねる。

『毎日、お前の部屋に夜這いしていたからな。』

目線だけをあげ、ニヤリと笑う。

『よ、夜這い!?』

あきらが飛び上がる。

『クックックッ!いちいち貴様の反応は面白いな。案ずるな、寝顔を見ておっただけだ。まだ何もしておらん。』

信長が口の端をあげ、楽しげに笑う。
まだ、って何かする気なの、この人!?
あ、そんな事より…。
あきらは居住まいを正すと、改めて信長を見据えた。

『信長さま、その節は ご忠告を無視して一人で行動し、皆さんを危険な目に合わせてしまいました。本当に申し訳ありません!』

床に手を付き、おでこを擦り付けながら深々と頭をさげる。
しばし沈黙が流れ、あきらは何を言われるかと冷や冷やしていた。

『貴様といると退屈せん。』

いつの間にか筆を置き、信長が目の前に立っていた。



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