第32章 お見舞い☆三成
そして二人で笑いあった。
『でも、心配かけて ごめんね。あの時も言ったけど、これは三成くんのせいじゃない、私が軽率に一人で行動して、勝手に捕まっただけ。怒られていいとこなのに。』
それを聞いて、三成はブンブンと首を横に振った。
『あきら之丞さまのせいではありません。私がお側を離れてしまったのがいけないのです。』
『だから違うって。』
『いえいえ、ですから…』
暫くそんなやり取りを繰り返す。
『じゃあ、誰も悪くないってことで。』
とあきらが締める。両手で三成の右手を取って、
『これからも 宜しくお願いします。』
と頭を下げる。
三成が、空いている左手であきらの手を包み込み、ギュッと握る。ずいっと体を寄せ、鼻が触れそうな距離で
『こちらこそ。』
と、妖しく微笑んだ。
だからその笑顔は ヤバイって…。
美和の鼓動が勝手に早まる。
『あ、あまり長居してはいけませんね。』
包まれていた手を離し、三成が立ち上がる。
あっという間に温もりが消えて、あきらは少し寂しい気持ちになる。
『では、どうぞまたごゆっくり お休みください。』
そう言うと部屋を出て行った。
『…胸がドキドキして、ゆっくり休めないってば。』
あきらの呟きが静かな部屋に消えて行った。