第26章 顕如 討伐作戦☆秀吉&家康
明け方 安土城に帰り着いた信長一行。
既に秀吉らの部隊は到着しているらしい。
怪我をしていて心配だから…と三成の馬に乗せられていたあきらだったが、それでも疲れ果てていた。
『信長さま!!』
秀吉が待ち構えていたように信長らに駆け寄る。
ひらりと馬から降りた信長が秀吉に告げる。
『顕如の捕縛、大儀であった。』
はっ、と短く答えると、心配そうな顔であきらを見つめる。
『あきら之丞、怪我は大丈夫か?』
本当に心配性だなぁ、と思いながらも嬉しくなる。
三成に支えられあきらも馬から降りた。
『たいした怪我ではありません、大丈夫です。それより、皆さんに大変ご迷惑をかけてしまいました…。』
うつむくと、秀吉があきらの頭を優しく撫でた。
『あきら之丞が無事なら、いいんだ。』
そう言われてホッとしたのか、涙が溢れた。
『すみません…。』
そんなあきらを秀吉が そっと抱き寄せ、子供をあやすようにポンポンと背中を叩く。
『三成も ご苦労だった。』
いいえ、と三成は かぶりを振る。
『私はあきら之丞さまをお守りする事が出来ませんでした。』
そう言って顔を歪めた。秀吉は、そんな三成の肩を掴んで、うん、うん、と頷く。
『秀吉、弟達の世話は頼んだぞ。俺は顕如に会ってくる。』
口の端を上げて笑いながら、信長が去っていった。
他の皆は、取り敢えず城の中へ入る。
広間に入ると、あきらは身体中の力が抜けるのを感じた。
帰ってくるまでは気が張っていたせいで痛みを感じなかったのだろう。
殴られたみぞおちや縛られていた手足、井戸に落ちた時に打ったらしい背中と、次々に激しい痛みが襲う。
あきらは膝から その場に崩れ落ちた。
『あきら之丞!!』
『あきら之丞さま!!』
慌てて両脇を秀吉と三成が支える。
『三成、家康を連れてこい!』
はい!と頷いて三成が早足で広間を出て行く。
程なくして戻って来ると、秀吉に支えられて立っているあきらを見て、家康が目を見開く。