第25章 顕如 討伐作戦☆信長&三成
『ん?なんだ、馬が騒がしいようだが。』
信長と同じく馬の鳴き声を聞き 不審に思った三成が、急いで外を確認する。
繋がれた馬達は みな揃っている。特に何も変わった様子は無いようだ。
『はて…?何も無いのに彼らが鳴くはずは…。』
ふと足元を見て、三成の体が凍りつく。
『これは…!!』
紅のそばに片方だけ、草履が落ちていた。
この草履、間違いない。あきらが履いていた物だ。
『信長さま!』
踵を返し信長の元へ走り寄る。三成の手にある物を見て、信長が全てを悟った。
『…俺の物に手を出した事、しかと後悔させてくれるわ。三成、お前は ここで待て。俺はあきら之丞を追う。』
何かを言いたそうにしていた三成を無視して、信長は1人馬に乗り闇の中へと消えて行った。
『必ずお守りすると誓いましたのに…。お二人共どうか ご無事で。』
… … …
…んん…。
目を開けると見慣れない床が見える。体を動かすと、みぞおちに鈍い痛みが走った。
『痛っ…。』
手首は後手に拘束されており、動かせないところを見ると足首も縛られ転がされているらしい。
ここ、どこ…?
あきらは記憶を手繰り寄せる。
三成と目が合って恥ずかしさから外に飛び出した。そして紅の元へ行き…誰かに殴られた所までは覚えている。
改めて首だけを動かし辺りを見回す。小屋のようだ。
その時、小屋の扉がガラッと開いた。
『目が覚めたか?』
見ると黒装束の男が立っている。
『お前は さっきの…。』
顕如と共に信長達を襲った輩の1人だろう。
あきらが男をギロリと睨む。
『そう睨むな。綺麗な顔が台無しだ。』
そう言うと、男はあきらの足を拘束している綱を切った。
『信長に寵愛されている弟君か。くくっ、どんな寵愛を受けているんだか…。男にしては綺麗な顔だな。』
あきらの足を割って男が自分の体を入れる。
そして着物の合わせに手を掛け、思い切り開いた。
サラシを巻いている胸元が露わになる。
『な、何をする!?貴様、気でも狂ったか!』
『俺は正気だ。お前のように若くて綺麗な男が好物でな。顕如様に殺される前に俺が味見してやろう。』
男は卑下た顔であきらの首元に舌を這わせる。
『ぃ…やめろっ!!』
気持ち悪さと怖さで声が震える。
誰か…!!