第18章 初めてのお使い☆信玄
『ブッ!!!』
あきらは、口に入れていた 二口目のお茶を豪快に吹き出した。
通りを歩いていた町人が白い目であきらを睨む。
すいません…と小声で謝りながら信玄を見る。
『あのー、いつも女子達に言ってるせいでそういう事言うの癖になってませんか?私は男ですが。』
困ったような顔で言うと、信玄は
『あきら之丞が可愛いから、からかいたくなるんだよ。』
とあきらの頭を撫でた。
なんか信玄さまにからかわれてるうちに、暗い気持ちがどっか行っちゃったな。
残っていたお茶を飲み干し、あきらはスクッと立ち上がる。
『信玄さま、美味しいお団子ご馳走さまでした。それと何も聞かないでくれてありがとうございます。
私はそろそろ失礼します。』
口調は軽いけど、この人の全てから優しさが伝わってくる。
あきらはペコッと頭を下げ茶屋を後にした。
頬杖をつきながら信玄がポツリと洩らす。
『俺は、誰にでも優しいわけじゃ…
無いんだけどなぁ。』