第17章 初めてのお使い☆幸村
『はっ、野郎2人でなにやってんだかな!ん?なんだよ、それ気に入ったのか?』
幸村に言われて、さっき見ていた桜模様の簪を握りしめていた事に気付く。
『あっ、ゴメン!』
あきらが慌てて布の上に戻そうとすると、
『いーよ、持ってけ。その…お前のことイノシシ、イノシシって虐め過ぎた詫びだ。好きな女子が出来たら贈ってやりゃいいだろ。いなきゃ、お袋とかさ。』
『いい…の?』
おう、と幸村が笑った。
『ありがとう幸村。大切にするよ。』
『なんかそういう風に言われると、お前に贈ったみたいで変な気分になるぜ。』
頭を掻きながら幸村が苦笑する。
本当だね、私は女だよって言えたらどんなに楽か。
この綺麗な簪も堂々と胸張って髪にさせるのに…。
あきらは少し寂しそうに微笑んで、また遊びに来るよと幸村の店を後にした。
『なんだよ、あいつ。去り際に寂しそう〜な顔しやがって。つーか大体なんで俺があきら之丞の言動にどぎまぎしなきゃならねぇんだっつーの。』
頭を抱える幸村だった。