第13章 男なのに☆三成
『あー、やっぱり本は次の機会にします。えーと、安土城で お勧めの場所はありますか?』
この話の変え方わざとらし過ぎる…とあきらが思っていると、
『そうですね…南側の中庭は1日中 日が当たりますので、ポカポカとしてとても気持ちがいいですよ。』
と、特に気にもとめずに三成が教えてくれた。
相変わらずの昇天スマイルで。
『ありがとう、行ってみますね。』
はい、ぜひ、と三成が頷く。
『ところで、三成さまはファンが多いんですね。』
『ふぁん?』
あ、伝わらないか…。
『えーと、城の女中達に好意を持たれていらっしゃるんですね。』
と言いなおす。
『私はあまりそういったものがよく解らないので…。ただ、あきら之丞さまといると、とても楽しいです。』
さらっと凄いこと言われてるような気がするのは私だけだろうか。
三成の事だから特に深い意味はなさそうだけど。
『私も楽しいですよ。』
そう言ってあきらがニコッと笑う。
『ああそうだ、あきら之丞さま、宜しければ私のこともどうぞ三成とお呼び下さい。敬語などお使いにならなくて結構です。』
そう言う三成は私に敬語なのにな、とあきらは可笑しくなる。
『はい、それじゃ三成くんでもいいかな?もちろん私の事もあきら之丞って呼んでね?』
『すみません、私はこの話し方に慣れてしまっておりまして。このままではいけませんでしょうか?』
と、申し訳なさそうに聞いてくる三成に嫌だとは言えず、今まで通り話してもらう事にした。
『それではあきら之丞さま、私はこちらに用がありますので失礼致します。』
そう言い残して三成は去っていった。
もしか…しなくても、あきらが引っ張って連れてきたせいで三成の予定を遅らせてしまったらしい。
でも三成ならきっと、大抵の事は極上の笑顔で許してくれそうだな、と思うあきらだった。