第2章 出会い☆信長
『………んー…。』
気を失っていたのだろうか?
目を開けると同時に何かが焼け焦げるような臭いが鼻をつく。
『う、ゴホッゴボッ!』
なにこれ、煙い!!
改めて目を凝らすと、あきらは火事の真っ只中にいた。
『熱っ!』
立ち上がりながら触れた壁が熱い。
気配を感じ、斜め左方向を見ると、大柄な男が細長く 光る物をもって、ゆっくりと歩いている。
その視線の先を辿れば、柱にもたれて眠る男が一人。
なんでこの状況で眠れるのかという疑問を無理やり引っ込め、あきらは慌てて眠る男の側に駆け寄った。
『起きて!逃げますよ!』
『…んー。』
まだ意識のはっきりしない男の左腕を掴み、無我夢中で引っ張る。
そして、何処をどう走ったのか、ひとまず建物の外に飛び出した。
外は夜中なのか、真っ暗だ。
ハァ、ハァ。
あきらが乱れた呼吸を整えていると、耳元に低く不機嫌な声が聞こえてくる。
『貴様、いつまで俺の手を握っているつもりだ。』
ハッとして、あきらは握りしめていた男の手を放した。
『す、すみません!』
あれ?私が助けたのに何で謝ってるんだろう?
少しムッとして、あきらが男の顔を見ると、男は口の端を上げて楽しそうに呟いた。
『貴様、珍妙な格好をしているな。俺を助けた事は褒めてやる。』
『はぁ、どういたしまして…。』
なんなの、この俺様っぷり。