第10章 男なのに☆家康
『家康。』
『は?』
『家康でいい。あと敬語もいらないから。あんた俺とそんなに歳 変わんないでしょ。』
あ、呼び捨てでいいって言ってくれてるのか。
『解りました。それじゃ、家康。手当てしてくれて ありがとう。』
にっこり微笑んであきらが家康に礼を言う。
『別に。大したことしてないし。早く行けば?まだ山ほど仕事残ってるんじゃないの?』
家康に言われて思い出した。
『あ!そうだった!片付けもしないで 本当にゴメン!』
そう言って、あきらは散らかった書簡を集めて去っていった。
残る家康は、ほんのり頬を染めながら呟く。
『…どうかしてる。あきら之丞の笑い顔見て 何 赤くなってんの、俺。』
ばら撒いた薬草や粉末を掻き集めながら、困惑する家康の姿があった。