第58章 愛しい☆謙信
家臣らと別れ、あきらは謙信と共に天守へ来ていた。
『腹が減ったろう。すぐ何か作らせる。』
『いいえ、私は平気です。謙信さまこそ、お疲れになったでしょう?』
先ほど家臣の人達も言っていたけれど、謙信さまはいつも戦の先頭に立ち戦い続けていた。
疲れていないわけが無い。
謙信は考え事をするように視線を彷徨わせたあと、近くにいた家臣に人払いをさせた。
『いつもなら、いいやと言う所だが…そうだな、少し疲れた。』
そう言うと、隣に座っていた謙信があきらの肩にコツンと頭を乗せて目をつぶった。
謙信さまって睫毛長いなぁー。肌も男の人じゃないみたいに綺麗…。髪の毛もサラサラだし…。
食い入るように見つめていると謙信が小さく吹き出した。
『ふっ…思っている事が口に出ているぞ、あきら。』
『えっ!?』
やだ、私ってば。恥ずかしさに顔を背けると、頬に謙信の冷たい手のひらが触れた。
そのままそっと撫でられる。
『お前からそんなに褒め称えられると、さすがに照れる。』
そう言って小さく微笑み、あきらの唇に口付ける。
『ん…。』
あきらの唇から ひとつ切ない声が漏れた。
その唇に触れるか触れないかの所で謙信が囁く。
『俺の身の回りの世話をしてくれるのだろう?
まずは…溜まった物の片付けをしてもらおうか。』
そう言いながらあきらの着物を剥ぎ取ると胸元に顔を埋める。
『溜まった…も…の?』
途切れ途切れにあきらが訪ねる。
『ああ。今にも溢れてしまいそうで…な。』
謙信との、激しくも甘い夜が始まるのだった。