第47章 あなたの為なら☆信玄
『はい。信玄様のご病気が、私達のいた未来でなら治せるかもしれないんです。』
チラリと信玄が佐助を見やる。
『病の事、聞いたんだな。』
佐助は しれっと視線を外す。
『ありがとう、あきら之丞。だが、それは出来ない。
俺は将だ。戦を放り出して行く訳にはいかない。』
断られるとは思っていたけど、こうまで けんもほろろに言われると辛いな。
『でもっ、このままでは信玄さまが…!』
震える声で訴えた時、背後から声がした。
『こんな戦、将は俺一人で十分だ。』
謙信さま!?聞いてたの?
『お前は さっさと体を治して戻ってこい。いつまで こいつに こんな顔をさせておくのだ?』
ハッと息を呑み、信玄があきらの頬に触れた。
その頬には、大粒の涙が伝っている。
あれ?私、いつの間に…。
『すまない、あきら之丞。泣かないでくれ。
…解ったよ、お前達と共に行こう。
謙信、あとは頼んだ。』
信玄が頭を下げる。
『ふっ、俺を誰だと思っている?こんな戦、あっという間に終わらせて宴を開いておくわ。』
謙信さま…。
その時、急にゴウッ!と風が吹き、ポツポツと雨が降り始めた。
『そろそろワームホールが現れるはずだ。外に出よう。』
佐助に即され、三人が天幕の外に出る。
雨は次第に強さを増し雷鳴が轟く。
その音が どんどん近づいてきていた。
あの時と同じだ。
そう思い空を仰ぎみた瞬間、ピカッ!!と一面が光に包まれ、足元が グラついた。
景色が グニャリと歪む。
… … …
『あきら之丞!』
『あきらさん!』
重なるように自分を呼ぶ声がしてあきらが薄っすらと目を開ける。
目の前に心配そうな顔をした信玄と佐助の顔がある。
どうやら気を失っていたらしい。
ハッと周りを見る。
『戻って…来たんだね?』
今まで周りにいた多くの兵の姿が ここには無い。
代わりに窓やベットが見えた。…ここ、病院?
『俺の通ってる大学の病院だよ。あ、それと、お世話になっている教授に相談したら、信玄さまの手術が出来る医者を見つけてくれたんだ。』
私が気を失ってる間に?佐助くん、仕事が早過ぎる!
『念の為に検査をしてからだから、1週間後位には手術が出来ると思う。』
『ありがとう、佐助くん!』