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イケメン戦国/偽りの君

第47章 あなたの為なら☆信玄


【武田信玄は、甲斐の虎と呼ばれ恐れられた。

大変 戦上手で、負ける戦はしないと言われた程である。

織田信長との戦いに於いても勝利し、和平を結ぶ交換条件として、

信長の義理の弟に当たるあきら之丞を差し出すよう要求するも叶わず、

間も無くして持病が悪化し この世を去った。】



『私達、負けるんだ…っていうか、病死?』

そんなの嘘だ。つい昨日 会った時は元気だった。

『信玄さまはあきらさんにだけは知られたくないって、病の事 隠してたからね。』

『一体 何の病気なの?』

『今で言うところの胃癌の初期みたいなものかな。
もう、かなり前から患ってたらしい。この時代の医療で治すのは不可能なんだよ。』

あきらが尋ねると、言いにくそうに佐助が教えてくれた。

ん?ちょっと待って、今…。

『この時代の医療では治せないって、もしかして現代の医療なら治せるの!?』

佐助を問いただす。

『絶対とは言えないけど可能性はある。でも、あくまで可能性の域だ。』

例え可能性の話だとしても、少しでも助かる見込みがあるなら、私はそれに賭けてみたい。

『佐助くん、少し待ってて。私、信玄さまの所に行かせて貰えるよう、信長さまにお願いしてみる!』

『えっ!?あきらさん、それはさすがに…。』

無茶だ、と言おうとした佐助を無視し、あきらは本陣に戻る。
中に入ると信長を探した。

あ、丁度良かった、一人だ。

あきらが信長に駆け寄る。

『信長さま、大事なお話があります!』

真剣な顔で話し出すあきらを見据えると、信長が一言、

『まさか敵に寝返るなどと言うんじゃないだろうな?』

と釘をさす。
うっ、一瞬だけ怯むが、ぎゅっと掌を握り締める。
一歩下がると、その場で おもむろに土下座をする。

『武田信玄さまの元へ行かせてください。』

長い沈黙の間、もしかしたら このまま斬られて、佐助くんに待ち惚けを食わせてしまうかもしれないな、と考える。
が、一向に斬られる気配は無い。
それどころか人の気配も無いような…?
ふと顔を上げると、信長は既に数歩離れた場所に立っていた。

あれっ?

『ちょっと…信長さま?』

あたふたしながら追いかけると、射るような視線が返ってきた。

『寝言は寝て言え。』
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