第46章 あなたの為なら☆三成
『…変な病気なんじゃない?あきら之丞を抱き締めたら治るかもよ、じゃ、俺は先に帰るから。』
溜息をつきながら、敵兵を連れて家康が帰ってゆく。
その背中を茫然としながら見送っていると、後ろから やんわりと抱き締められた。
振り向くと、すぐそこに三成の顔があり面喰らう。
『み、三成くん?』
『あぁ、確かに落ち着きますね。でも、おかしいです。
胸が苦しいのは酷くなるばかりです。』
三成があきらの肩に顎を乗せて囁くと、息が耳元をくすぐって思わず肩が跳ねる。
『あの…ね、三成くん、このままでいいから聞いて欲しいんだ。』
『はい、なんでしょう?』
三成が喋る度にドキドキと鼓動が暴れた。
『突拍子もないことを言うようだけど、私は今から500年後の未来から来たんだ。それに、あきら之丞っていうのは本名じゃなくて…私の名前はあきら、本当は女…なの。』
全てを言い終わる頃には喉がカラカラに乾いていた。
黙って反応を待つ。
やがて三成がポツリと呟いた。
『もっと強く抱き締めても宜しいですか?』
あきらの返事を待つことなく三成の腕に力がこもる。
『この病気の名前、私にも解りました。恋煩い、だったんですね、』
暫く、三成の抱擁が緩むことは無かった。