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イケメン戦国/偽りの君

第46章 あなたの為なら☆三成


『ありますよ、私も ただの人間ですから。
でも、あきら之丞さまの顔を見て、落ち着きを取り戻しました。大切な人に、取り乱した姿は見せたくありませんからね。』

あきらを見る三成の眼差しが憂いを帯びていて、ドキッとひとつ心臓が跳ねた。
暫く走ると、ワーッという人々の ざわめきが聞こえてくる。

『あきら之丞さまは、この辺りでお待ち下さい。』

『えっ、私も…。』

全てを言う前に三成達は走り去ってしまう。
家康に合流すると、鮮やかな刀さばきで敵の兵を討ち取っていく。

本当に剣の腕、凄いんだ…。

馬を降りたあきらは、三成から目を離せずにいた。
その背後に、いつの間にか敵兵が擦り寄るのも気付かない。

敵兵があきらの口を塞いだ。

『大人しくしてて貰おうか。声を出せば殺す。』

敵兵の刀が、あきらの首元で鈍い光を放っている。

…しまった!気を付けていたつもりだったのに。

あきらが そっと刀に手を伸ばす。

『おっと、大人しくしてろと言ったはずだ。貴様を謙信さまへの手土産にしてくれるわ。さあ、歩け。』

引き擦られるように横に歩く。数歩 歩いた時だった。

『そのお方を返して頂きましょうか?』

闇の中で声がした。ジャリッという足音と共に近付いて来たのは…。

(三成くん!?)

また、本陣にいた時のような恐ろしい表情に戻っている。

『動けば こいつを殺す!』

喉元の刀が更に近づく。

『ならば その前に片付けるまで。』

ヒュッという音がしたかと思ったら、どさりとあきらを捕まえていた敵兵が倒れた。

…何が起きたの?

そっと首だけを動かして視線を足元に落とすと、敵兵の脇腹に血が滲んでいる。

いつの間に斬ったの!?

ううっ、と呻き声を上げているから生きてはいるようだ。

『すみません、また…怖がらせてしまいましたね。』

三成が眉根を寄せて呟く。

『ううん、助けてくれて ありがとう。油断してごめん…。』

そこへ家康もやって来た。倒れた敵兵を縛りあげながら言う。

『で、なんであんたが ここにいるわけ?』

『え?えーと、それは…。三成くんが心配で…。』

頬を染めあきらが答えると、三成は胸を押さえながら呟く。

『はて?何でしょう?心の臓が早鐘を打っているのですが。』
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