第46章 あなたの為なら☆三成
【石田三成は、豊臣秀吉に仕える謹厳な部下で策士であった。
多くの戦に於いて、その頭脳を遺憾なく発揮し、自軍を勝利に導いた。
しかし、上杉・武田軍との戦いでは策に溺れ、徳川家康の助言を無視し多くの兵を無駄死にさせた。
のちに徳川家康によって斬首される。】
『そんなっ…!?』
家康は三成くんに確かに冷たいとこあるけど、なんだかんだ仲がいいし、三成くんも家康の言う事なら聞くはず。
『俺も、あの石田三成が そんな我儘勝手な事するとは思えない。それなりの理由が無ければ…ね。』
佐助が本の一文を指差す。
【石田三成は、上杉・武田軍との戦いの際、織田家ゆかりの武将(あきら之丞)を敵側に人質として取られた事で、冷静さを欠いたのではないか、と言われている。】
『人質?私が?』
敵側って…。
ハッとして佐助の横から飛び退く。
『いや、俺はあきらさんを人質にしようとか思ってないから。』
佐助に突っ込まれ、ごめん、とあきらが謝る。
『もちろん謙信さまや信玄さまも そんな小狡い事はしないから安心して。いや…という事は、何処の誰があきらさんを拉致するか解らないから安心出来ないか。』
『お願い、無表情で恐ろしい事言うの、やめて。』
あきらの顔が引きつっていた。
でも、もしそうなるんだとしても私は…。
『怖いけど、やっぱりこのまま現代には帰れない。私のせいで三成くんが死んじゃうかもしれないなら、何とかして逃げ切るから!ごめん、佐助くん。』
頭を下げて佐助に思いを告げる。
ふっ、と笑った佐助が言った。
『俺も大切な人が死んでしまうかもしれないなら、側を離れられない。俺にも いるんだ。大切な人たちが。』
あ、幸村達の事かな。
『だから俺も帰らない。一緒に この時代で生き残ろう。おっと、俺はそろそろ…。
それじゃ、また必ず会おう。』
そう言うと、佐助は闇の中に消えた。
私も変な奴に捕まらないようにしないと…。
自慢じゃないけど、捕まるの得意だからな。
そっと天幕の中に戻ると、三成が地図を挟んで信長と話し込んでいた。
邪魔にならないようあきらは隅に座る。