第7章 安土城へ ようこそ
あぁ、なんだか暖かいなー。。それにユラユラ揺れて気持ちいい…。
『起きろ!着いたぞ。』
その声にあきらは、ハッ!と夢から覚めた。
政宗は ひらりと馬から飛び降りると、あきらの手を取って馬から降ろす。
『ありがとう…ございます。あの、寝てしまって すみません。』
『あぁ。イビキかいてたぞ。』
えっ!?
『ブッ!冗談だ。』
なっ…確かに昼間に京都観光で歩き回って疲れていたとはいえ、この人の馬上で眠ってしまったのは不覚だった。
『政宗、あきら之丞、遊んでないで早く来い。お館様がお待ちかねだ。』
秀吉の呼び声に、すっかり忘れていたけど、私は1番会いたく無い人に会わなければいけないんだった、と思い出す。
憂鬱な顔を上げると、大きな城があった。
『うわぁ…綺麗。』
本当に綺麗な城だと思った。横から秀吉さんが、ここが信長様の城『安土城』だと教えてくれた。
信長様は その1番上の天守閣にいると言う。
秀吉と政宗に両脇を固められ、あきらは嫌々ながら天守への廊下を進む。
暫くして部屋の襖に秀吉が声をかける。
『お館様、例の少年を連れて参りました。』
少年…男扱いというよりは子供扱いされていて、あきらは複雑な気持ちを覚えた。
と同時に、一応 男には見えてるってことだよね?とホッとする、
『入れ』
中から低い声が聞こえる。
静かに襖を開け、秀吉達と共に部屋の中に入る。
『ご苦労であった。して、あきら之丞、なぜ俺の前から逃げた?』
ごくっ。冷たい目に射竦められて あきらは唾を飲み込んだ。
『俺の誘いを断ったからには それなりの理由があったのであろう?』
ううっ、仕方ない、と、あきらは さっき秀吉達にした話を繰り返す。
『…というわけで、こんな体の弱い男では、信長様のお役には立てないと思い、お断り致しました!』
あきらが伏せていた目を そっと上げると、信長がニヤリと笑っている。