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イケメン戦国/偽りの君

第45章 あなたの為なら☆光秀


『光秀さん!?』

光秀率いる隊が、黒装束の軍勢と激しく刀を交えていた。

『どういう…こと?』

理解出来ずに固まるあきらをよそに、秀吉も その戦いに加勢していた。
少しして黒装束の軍勢を制圧すると、光秀が信長の元にやってくる。

『信長さま、いましがた片付きました。』

『ご苦労だったな。やはり、お前の予感は当たっていたか。』

聞けば、秀吉が取り逃がした顕如の残党が、全国に散っていた仲間を掻き集め、この上杉・武田軍との戦いに乗じて信長を亡き者にしようとしていたらしい。
その情報を掴んだ光秀が、密かに顕如の軍勢を追い、先手を打ったのだ。

『信長さまも ご存知だったんですか!?』

『勿論だ。』

なんだ、良かった。
あきらは馬から降りると目を瞑り、安堵の溜息を漏らす。

『あきら之丞、心配していたのは俺の事か?それとも信長さまの事か?』

知らぬ間に目の前に立っていた光秀が、冗談交じりに言う。

『ど!どちらもですっ!』

顔を赤く染めながら答えるあきらを満足気に光秀が見つめた。

『そうか、それは残念だ。信長さまだと即答したら、今ここで襲ってやろうと思ったんだがな。』

『いや、意味が解りません。なんですか、その交換条件は…。』

『交換条件と言うより、貴様のは焼きもちだな。』

近くにいた信長が ふいに付け加えた。
焼きもち?っていうか信長さま、聞こえてたの!?

『焼き餅?確かに旨いが、私は焼いた事などございませんが?』

光秀が飄々と答える。確かに焼きもちなんて焼きそうなタイプじゃ無いな…とあきらは思った。

『光秀さま、お話中失礼致します。今、宜しいでしょうか?』

光秀の家臣が話し掛けてきたのを合図に、この話は終わったようだ。
信長も光秀に背を向け、秀吉と話し込んでいる。

焼きもちだったら、ちょっと嬉しかったかなー。

残念な気持ちで その場を去りかけた時だった。
目の端に見えた光秀の家臣が、後ろ手に何が光る物を持っている。

ん?小刀?なんで…。

そう思った瞬間、家臣が ぐるりと振り返り、信長の襟足に小刀を突きたてた。

『信長さまっ!!』



パンッ!



辺りに乾いた音がこだました。
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